中学受験、親の転勤などの影響で子供達が集まらず、7月まで休部状態だった世田谷タイガース。プロローグでも紹介した。リトルリーグでプレーをしていた子供達が加わり、「やっと好きな野球が出来ることになった5年生の黒川博貴。どちらかというと、ベンチを温めている機会が多い彼に、久々の試合に出れるチャンスが訪れた。レフトで8番。我がチームは6年生がいないため、5年生が最上級生として頑張らなければならない。しかし博貴の性格はというと「おとなしく、いつも控え目」だ。だが、練習は一生懸命に、そして黙々と取り組む。指導者の我々も「失敗を恐れず思い切りプレーしてくれれば」と緊張した視線を送る。
ぎこちないプレーながらも、守備では無難にこなしている。3回に1死2塁の場面で2度目の打席が回ってきた。まだ、緊張感は取りきれていない。しかし、ベンチからの指示通り積極的にバットを振っていく姿は、いつもの控え目な博貴ではない。なんと真芯で捕らえた打球が綺麗に右中間を破る。全身喜びで満ちた走りが自然と前へ前へとスピードを加速させ一挙に二塁ベースを蹴ってサードに滑り込む。間一髪のセーフ!!興奮した笑みで、ベンチに向かってガッツポーズ!!「まさに輝きの笑顔だ。」日頃から一生懸命に練習に取り組んでいる成果が、自らの力で素晴らしい結果を生み出した。
我々の心も熱くさせてくれた。おめでとう博貴。そして素晴らしい笑顔をありがとう。(小林 宏)
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